| 転校生S Special Edition | |
| by Ophanim | 進む→ |
| First step | |
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全く・・・いつまでこんなレベルの低いことやってるのかしらねぇ・・・。
みんなで一斉に「さん、はい」って感じでお勉強。
これじゃ、あたしみたいな「規格外」の人間は暇で暇でしょうがないわ・・・。
窓から2列目の席にいるあたしはなんともなしに外を眺めた。
雲が流れていく・・・。
まるであたしみたいだ・・・。
日本からドイツへ、そして、ドイツから日本へ・・・ふわふわと、流れるように、・・・流されるように・・・。
こっちに来たら、シンジがいる。
シンジはずっと、ずっと、いつまでも、あたしを待っていてくれている、なんて、やっぱりちょっとムシが良すぎたかしら?
ちらっと後ろを振り向いてみる。
シンジはノートに何か落書きをしているみたいだ・・・って、なぁんだ、黒板に書いてあるものを書き取っているのね?鈍くさいなぁ。あれってもう何分も前に書いたやつでしょう?
ほら、隣のレイを見てよ?
もう書き終わってミサトの話を聞いているでしょう?
・・・。
だから、いいのかな・・・。
釣り合いがとれて・・・。
でも、どうせ、シンジのことだから、少しも進展してないでしょうね。
鈍くて、のんびりしてて、強引なところが少しもないから・・・。
メモを取ろうとうつむいたレイのほつれ毛が妙に可愛らしい。
なんか、”純和風”って感じ。
そういうところが、お似合いなのかな?
おひなさまみたいな、可愛いカップルよね・・・。
ま、二人のためにあたしが一肌脱いであげようじゃないの。
そしたら・・・。
もしかしたら、シンジの心の中に、あたしのこと、残るかもしれないから・・・。
転校生 Special Edition |
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Crossing Point S−type |
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| presented by Ophanim |
・・・まずいまずい・・・泣けてくるじゃないの。
かさっ
ちょっと感傷的になっていたあたしの目の前に紙がおかれた。
「ダンケ。」
思わず言ってしまってから、ありがと、と小声で言い直す。
なになに?
”アスカと綾波さんへ””ヒカリ”
えーと?
”あのね、二人にちょっと相談に乗ってもらいたいことがあるの。放課後、ちょっとでいいから、一緒に喫茶店に行ってくれない? ヒカリ”
なんだろ?
ちらっとヒカリの方を見る。
ヒカリはあたしの視線に気がつくと、両手をあわせて拝むようなポーズを作った。
やーやー。
あたしはヒカリにも見えるように大きく頷いた。
読み終わったから自分の名前を消して、これでよしっと!
はい、レイ、あと読んでおいてね。
ぽすっ!
さて、ヒカリの相談って何だろうなぁ・・・。
まぁ・・・。あの表情から察するに、オトコ関係だとは思うんだけど・・・。
にやぁっとしながらヒカリを見ると、何か慌ててる。
え?
何?
あたしはそーっと後ろを振り向いた。
・・・嘘・・・?
れ、レイっ!?
何でシンジに回してんのよっ!?
二人は顔をくっつけるようにしてヒカリの手紙を見ていた。
「・・・良いんだよ。」
「そ、そうなの?」
わ、わ・・・。
もしかして、レイってなんでもシンジに相談するの?
二人を見つめるあたしの視線を遮る、大きな身体。
「・・・よね?だから・・・この・・・判った?」
「とーってもよーく判ったわ。」
あちゃー・・・。
ミサトが手を伸ばして二人から手紙を没収してしまった。
「なーにやってんのかしらぁ?」
なんだかミサト、怒ってるっぽいなぁ・・・。
「仲いいわね、二人とも?こーんなに顔寄せ合っちゃって、”愛”でも語り合ってた?」
って、そんなことないか・・・。
じゃ、なんで手紙取り上げたりすんのよぉ?
「ち、違いますよ!そ、その・・・綾波が、判らないことあったから、教えてただけです・・・。」
へぇ・・・やっぱり、かばうんだ・・・。
シンジもやるもんだわ・・・。
「あ、でも、私が悪いです。すみません・・・。」
レイもレイだわ・・・二人でお互いにかばって・・・。
なんか・・・面白くないわね・・・。
別にあたしが心配しなくてもうまくいってるじゃないの。
「ふぅん、そうなの?ま、どっちにしろ、これは没収ね。じゃ、レイちゃんは後で社会科準備室まで資料運ぶの手伝ってねぇ。」
あたしはミサトが持ってきた大量の資料集の山を眺めた。
・・・ちょっと、可哀相かな?
でも、ミサトが持って来れたってことは、どうせ台車でも使ったんでしょ?
レイのミスで没収されたんだから、そのくらいはしなさいよねぇ・・・。
きーん、こーん・・・。
授業が終わると、レイはミサトと台車と一緒によろよろしながら部屋を出ていった。
「ヒカリぃ?」
「あ、アスカ、ちょっと待って・・・。」
ヒカリはぱたぱたと机の上を片づけている。全くもう・・・。この子は勉強はするみたいだけど、要領が悪い。滅多に使わない資料集とか辞書をいつも机に出しておく。その結果狭くなったスペースで小さくなって字を書くから書取に時間がかかったり後で読めないような字になったりしてしまう。結局一から調べ直す羽目になって、勉強にかける時間は長い割に成績が上がらない。
どっちかというと、”あたしはちゃんとやってます”って誰かにアピールしているように見えるのよね。
「おまたせぇ。」
「ううん、別に。どうせこれからまたレイを待つんだし・・・。」
あたしはぽーんと机に腰掛けた。
「それにしても、まぁ、あたしは当然として、どうしてレイにも相談を?」
ヒカリに質問をぶつけてみる。
「そ、それはそのぉ・・・その、ちょっと、事情があって・・・。」
ヒカリはもじもじし始めた。
「だってさぁ?あんたも見たでしょ?レイって、どっちかっていうと、そういう話、苦手そうじゃない?」
「そ、そ、そういう話って?」
もう真っ赤になりながら、ヒカリは辺りを気にしてきょろきょろ見回した。大丈夫。教室にはあたし達以外、もう誰も残っていない。そうでもなければ、こんな話を仕掛けたりしない。
「だって、恋愛関係の話でしょう?」
その瞬間、ヒカリは沸騰しそうなほど顔を上気させると飛び上がるようにしてあたしの口を押さえた。
「しーっ!!しーっ!!しーっ!!!!」
く、苦しい・・・。
ぴったりと口を押さえられて息ができない。
あたしはぐりぐりもがいてようやくヒカリの手を逃れた。
「な、なにすんのよっ!殺す気?」
「ごめん、ごめん・・・。でも、アスカ、声が大きいから・・・。」
そういいながらも、ヒカリはまだ後ろを振り返る。
まるで何かに怯えているみたいだわ。
「レイならまだ来ないと思うし・・・それに、あの子にも相談するんだから別にいいでしょう?」
あたしは教室の扉を見ながら答えた。
「そ、そうじゃなくて・・・あ、もうっ!!扉開いてるしっ!!」
ヒカリは真っ赤になって扉を閉めに走った。
「ばれたらどうすんのよっ!?」
肩で息をするようにして戻ってきたヒカリは、扉を閉めても外に聞こえるような大声を出した。
「ばれたらって・・・。困るの?」
「う、うん・・・。」
眉を顰めて言いよどむヒカリは、照れているというにはあまりにも厳しい顔をしていた。
「どうしたの?何があるの?」
おどおどしているヒカリの視線をいちいち追いかけるけど、別に何も変わったものはない。
「力になるわよ?」
そのあたしの言葉でようやくヒカリは落ち着いたようにみえた。
「あのね・・・あたしのうち、厳しいの。もう判ってると思うけど・・・。」
男の人とつきあう、となると、その相手について色々と詮索するのは当たり前、どこが悪い、ここが悪い、と難癖を付けてくる。
「でね、一番最悪なのが、”成績が良くない”っていうことなのよ・・・。」
ヒカリは一層深刻な顔になる。
「あいつ・・・頭悪いでしょ?」
・・・あいつって、誰よ?
「・・・う、うん・・・?そうなの?」
「頭悪いに決まってるじゃない!いっつもジャージ着てるし、授業中は寝てるか食べてるかのどっちかだし、放課後はさっさと部活に行っちゃうし・・・。」
へぇ・・・ヒカリってあいつが好きなんだ・・・。それにしても、よく見てるわ・・・。
「あのさぁ・・・それって、大事なこと?」
「大事よぉ!だって、あいつが頭悪かったら、あたしの親、絶対つきあったらだめって言うに決まってるもん!」
あたしは急に力が抜けた。
出る幕無いじゃん?
「別に悩むこと無いんじゃないの?」
「おおありよっ!!」
きんきんきんきん・・・。
み、耳の近くでそんな大声出さないでよね?
ぱたぱたぱたぱた・・・。
「あ、帰ってきたみたいよ?」
ヒカリは廊下を走ってくる足音を聞き取ったみたい。
あたしはあんたの声のせいで聞こえなかったわよ?
「あぁあ、これじゃもうしばらく雨ね。」
がらっと扉を開けたのが待ち人だと判ったのであたしは冗談を言った。
「あ、待っててくれたんですか?嬉しい・・・。」
「随分遅かったわね?・・・って、アスカ、それ、ほんと?あたし、傘持ってきたかしら?」
・・・って、この子達には通用しないか?
まぁ、シンジだって判らなかったかもしれないけどさ・・・。
「だぁってさぁ、ミサトが生徒を注意して、優等生が廊下走ってくるのよ?雨も降るわよぉ。」
「あ、なぁんだ、そういうことぉ?」
あたしが笑うとヒカリも笑う。
やっぱり、この程度なんだな・・・。
「さぁて、帰ろ帰ろ。ヒカリぃ、どの辺なの?」
「あたしの家の近くでいい?」
ヒカリの家・・・って、前に聞いたことあるけど・・・。
「えーーっ!?それって、あたしんちの逆方向じゃないの?」
「そうよ。何か文句ある?」
こいつはぁ・・・。
あんたの相談に乗ってあげるんでしょ?
謙虚なのが日本人の美徳じゃなかったの?
・・・謙虚と言えば・・・。
ちらっと後ろを見た。
あたし達の会話に混ざるでもなく、つまらなそうにするでもなく、にこにこしながらついてくる、青い髪。
この子こそ、謙虚を絵に描いたような子よね。
シンジが好きになるのも判るような気がするわ。
「綾波さん、今日、ごめんね?あたしの手紙のせいで・・・。」
あたしが後ろを気にしているのを感じ取ったヒカリが声をかけた。
なるほど、こういう所が「日本人」なのかぁ。
何も言わなくても、相手のことを気遣っているのね。
あたしも何か言わないと・・・。
「あたしも悪かったわ。ちゃんと折ってから渡せば良かったのよね?あたしさぁ、ほら、えーと、何よ?いい加減っていうか、適当っていうか・・・その、なんか、日本語あったじゃない?」
あーっ!もうっ!!いらいらするっ!
ずーっと日本語必要ない環境にいたからかなり忘れているのよね。
だいたい、表音文字が2種類あったり表意文字がたくさんあったり、そのくせ外来語まで取り込んで新しい言葉作ったり・・・日本語って覚えるのめんどくさいのよっ!!
「ずぼら?」
「そう!それ!!あたし、あぁいうのを綺麗に折り直すってできないのよね?ずぼらだから。つい広げたままで渡しちゃってさ。だからレイはシンジに聞いたのよ。」
そうよね?
レイはきょとんとした顔で頷いた。
よし、いい子ね。
あたしは話を続けた。
「そしたらさぁ!あの馬鹿シンジ!声が大きいっていうのよっ!あいつ、馬鹿なくせに要領悪いっていうか要領悪いから馬鹿っていうか・・・。」
こういう時はシンジが悪いの。
昔からそう決まってるの。
あたしがそう言うとシンジは決まって”えー?なんでだよーアスカー?”って聞いてくるから、”あんたが馬鹿だから”って答えるの。そうすると、”そりゃあ、そうだけどさぁ・・・”って困った顔をして、それで最初の問題は消えてしまうの。
「ミサト先生もいきなり没収なんてひどいわよねぇ?」
・・・やぁっぱ、シンジがいないとだめだわ・・・。
<続き>
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