コンビニ:11.廃棄U

by harumi

最終決戦の時は迫る
harumiが見いだした一筋の光明は、
彼の胃袋を守りきれるのか?!





(あらすじ)
harumiの食料を守るための戦い。
目の前に立ちはだかったカラスによって、その光は奪われたかに思われた。
彼の脳裏に閃いたそれは、絶望の闇をうち砕くのか。
はたしてharumiは、エンゲル係数の上昇を抑えることは出来るのか。

(あおりすぎだな・・・・)




段ボール全体を覆うようなものが必要だ。
カラスのくちばしに耐えるような頑丈なものが。
だが、そんなものが・・・・あった。

実際に捨ててしまう食料は、すべて段ボールに詰めて、店外の裏にあるゴミ専用の物置小屋に入れる。
鉄製のかなり頑丈な代物だ。
これはどのコンビニにもあるから、見たことのある人は多いと思う。
この物置小屋、横開きの扉がついているのだが、よくその扉が壊れるので有名である。

俺は捨ててしまう食料をその物置小屋に運ぶとき一緒に、持ち帰る食料入った段ボールを例の場所へと移動していた。
カラスの的となってしまったその場所と、ゴミ専用物置小屋とはそれほど離れていない。
では、いっそのことゴミ専用物置小屋に入れてしまってはどうか。
物置小屋の中のゴミは、段ボールですべて仕切られているので特別臭いわけでもないし、ゴミ収集車は幸いなことに俺のバイトが終わってから数時間後にやってくる。
廃棄を外に運び出してから俺のバイトが終わるまでのわずかな時間だけ、物置小屋に入れておくだけのことだ。
これならば、カラスの攻撃も、雨風さえ心配がいらない。

ゴミ箱に、自分が持って帰る食料を入れるのはかなりの抵抗があったが、なんと我がコンビニ、俺が廃棄を出す時間になるとカラスが集まってくるようになってしまったので、他に方法がなかったと言うこともある。

この第三の作戦は、(衛生面に目をつぶれば)すべてにおいて完璧だった。
もはや心配はいらないはずである。

しかししかし、次の敵は・・・・・人間だったのだ。

バイトが終了し物置小屋を開けて、段ボールを取り出してみると、なぜか軽い。
軽すぎる。
不審に思って中を開けてみると、段ボールだけを残して中身が空になっている。
(俺が持ち帰る段ボールは、他の実際に廃棄する食料と区別するために、他のものと分けて一番上に置いているのだ)
まさかと思って他の段ボールを開けてみると、やはり少しづつ減っている。
誰かがこの物置小屋をあさっているらしい。
実際に廃棄するものは、無造作に段ボールに詰めるだけ詰めているので、形は崩れているにもかかわらず、だ。
俺はまたしても、呆然と立ちつくすしかなかった。


これには参ってしまった。
物置小屋には鍵などかけられないし、ましてや俺が持ち帰る段ボールに”もって行くな!”とかメッセージを書いても効果はないだろう。
それでは”持っていって下さい”と書いているのと同じ事だ。
物置小屋は店からは見えない位置にあるので、いつ誰が近づいているのかも分からない。
物置小屋を荒らされることはそれはそれで問題ではあると思うのだが。
もし物置小屋の中がぐちゃぐちゃになるなら店長に対応を頼むことも出来ようが、ちゃんと蓋をして元通りでは文句の付けようがない。
何より、本来はすべて捨てるものなのだ。
相手が人間では、カラスのようにも行かない。


外にそのまま置いていればカラスにやられるので放置できない。
物置小屋では誰かに持って行かれる。
朝のバイトが来る前には外に出しておかねばならない。

もはや万策尽きたかと思ったとき、俺の頭に閃くものがあった。
これだ。
これしかない。


俺は遂に、第四の、そして最後の作戦にたどり着いた。
それは一見無謀とも思える、実に簡単な方法だった。
段ボールを店の入り口付近においておくのである。
客の存在を利用したのだ。

店の入り口は人の出入りが激しいので、これでカラス問題は解決である。
なぜなら、カラスは決して人に近づこうとはしないからだ。カラスは賢い。
またこの場所ならば、俺の目で監視可能だ。
店の入り口においてある段ボールを持ってゆこうなどという奴はいないだろう。
なにせ、いつどこで客の目が光っているのか分からないのだ。
店先ならばちょっとした時間にすぐ段ボールを出すことが出来るので、交代の数十分前に店内から外に出す、と言う方法も取れる。
それにより、外気に段ボールをさらす時間も短縮できるのだ。


長かった戦いも終わりを告げ、俺の財布に平和が訪れた。
人間によって閉ざされたかに思われた我が食料の危機。
最後はその人間の存在によって救われたのである。




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