「んんん、、、」

その日、私は目が覚めた。
まぶたを通して、光が感じられた。

妙に寝苦しかったので、(かといって、気持ちよく目醒められるわけでもない)私は少しだけ瞼を開いて、枕元の時計をみた。


9:00


「うーん、、間違いない、、、」

どういうことだろう。こんな時間に起きたことは―――無い、わけではない。

彼が、学校に行く途中に、たまにここに寄っていく時がある。そういう時は、もっと朝早くに、少なくとも1時間くらいは前に起こされる。でも、それは特別で、例外の時間。

そんなときですら、私は彼を無視して睡眠を続けることがあるから。

もしくは、一緒にコーヒーを飲んで、、私にカフェインなんて通用しないから、彼が学校に行く時間まで談笑して、そして、再び眠る。

しかし、そんな嬉しい例外を除けば、私がこんなに朝早くに目が醒めると言うことは、無い。

彼の影響だろうか――いやいや、そうだとしたら、逆に夜になっても起きないようになるだろう。

ふと、「もしも、私と彼が2人っきりで生活したらどうなるだろう」と想像してみる。

それはとっても甘美な夢、だと思ったけれど

「だめ。きっと、2人とも布団の中で1日が終わっちゃいそう」

彼は、一度寝てしまうと、起こそうと思っても起きない。朝になるまでは。しかも、朝も「おこしてくれる人」が居ないと起きない。そう、あの可愛いメイドさんのような。

となると、朝になって私が起きなければ、彼はずっと、あの、彫像のように冷たい表情のままで眠り続けるのだろうか。

私自身が朝に彼を起こすために、先に起きるというのは無理な気がする。一晩中起きているなら別として。


ともあれ、私はこんな時間に起きてしまった。もう、目も醒めた。

何をしよう。

私は、何をすればいいのか、わからなかった。彼が学校から帰ってくるまでに、まだ数時間ある。うーん。

こういう時の知識、普通、こういう時は何をするべきか、私は持ち合わせの「常識」のなからから探し出してみることにした。

読書――本がない。

料理、食事――お腹が空かない。そもそも、食材がない。

部屋の掃除――全然散らかってない。

「あぁ、もう!」

結局、この部屋には何もない。きっと、それが問題なんだと思う。

私は、この部屋を二つの目的でしか使っていないことが分った。一つは睡眠。

もう一つは、彼との語らい。

私は「娯楽」というものを知らないけれど(昔の私なら、それを「無駄な物」と一瞥したことだろう)、私にとっての娯楽が、今までの所、彼以外に無いようだ。

そう、それなら外に出よう。太陽は嫌味なほどに眩しいけれど。

部屋を出る時に、念のために鍵を閉めた。一人の時は、別にそんな習慣は無かったけれど、今は、ここは私の彼の2人だけの場所だから。

鍵を閉めて、そっと14階の手すりから下を眺め、人がいないことを確認して、私はそっと飛び降りた。

落下しながら、ふと思った。

「つまり、部屋にずっと志貴がいればいいわけなんだよね」

前向きに検討してみよう。

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Morning Arcueid "アルクェイドの或る朝"



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