かはたれときの企み






その日、アルクェイドのマンションで、アルクェイドとレンと、3人でポーカーをやって、帰る途中だった。

雨上がりの夕暮れがすごくきれいだった。

毎日のように歩いているの道路が、水の反射で金色に煌めいて、まるで、どこか、違う世界のようだった。

山も空も、人も車も電信柱もアスファルトも。眼に見えるものすべてに、夕焼け色のフィルタをかけたような。

空を、一際明るいオレンジ色の飛行機が飛んでいく。一筋の飛行機雲が、空を分けるように、どこまでものびていく。


帰る途中に、駅前通りを通った。

雨上がりの商店街。そこには声がなかった。ただ、自転車のタイヤが回転する音や、女の人が早足で歩く、カツカツという音、それに、その人たちを避けながらゆっくりと通りすぎる自動車の音。そんな音だけがあった。

夕飯になる前に帰るつもりで、俺は足を速めていた。

遠野の屋敷は、町のはずれの、ちょっと高台になっている所にある。
見通しがよく、辺りには高級住宅が立ち並ぶ、そんな丘の、てっぺんだ。

だから、俺は帰り道に、ゆるやかな坂を登っていた。

そして、コンクリートブロックで直角に整えられた、見通しの悪い四つ角を曲がった。


「……あれ?」

不意に、目の前に、世界が広がった。

そこは、小高い丘のようになっていて、眼下に、さっきまで通ってきた駅前通や、その商店街が一望できた。



向こう側の山の、さらに向うに、虹が見えた。きれいにアーチを描いていた。
夕日はもう半分ちかく沈んでいて、世界が一秒毎に夜になっていく。

空の茜色と、地上の金色が混ざりあう。
そして、回転する万華鏡のように、絶え間なく、微妙にその色を変えていく。


昼と夜の、狭間の世界。世界中の何よりも美しい、黄昏の色。


ほんの数秒間が、まるで今までの一生よりも遥かに長い時間に感じられて。




そして、夕日は沈んで、街の光が灯り出した。


「いけね。 もう帰らないと!」

走って四つ角を曲がる、どうやら、一本だけ道を間違えていたらしい。

曲がる前に足を止めて振り向いた。

そこは、ただの小さな小さな丘だった。

そこは、ほんのわずかな時間だけ、日常の世界と異界を結ぶ場所。

そこは、黄昏色の世界の入り口。






「今度は、アルクェイドも秋葉も、みんな連れてこよう。時間を見計らって」


きっと、それはすごくすごく、楽しい企みだと、思った。





初めまして。「うに」です。

後書き、、何を書けば良いのかよく分らないのですが、とにかくにも、まともに「SSだ」と期待して読んだ方々、
ごめんなさい。

そもそも「SS」とは言えないだろうこの文章を読んでいただき、本当にありがとうございます。



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