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| 我が輩は猫ですの from Ophanim |
| 使イ魔奸計編 |
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私は使い魔ですの。
用事は猫の真似ですの。
今日は日曜日ですの。ご主人様もゆっくり寝ていたかったと思うんですが、翡翠さんがやってきて起こしてしまいました。可哀想なご主人様。休みの日くらいはゆっくりしたいでしょうに……。
あ!
そこで、”使い魔のくせに妙に世間慣れしてるな?”とか考えてる人、嫌いですの。あと、あと、前回とか前々回とかで、”使い魔に意志があるはず無いだろ?”とか突っ込む人も嫌いですの。
嫌い嫌いですの。
仕返ししちゃいますの。
え〜っと、どうするかというと、『レンはあなたが嫌いですの』メールを一杯送るですの。
あなたの夢に。
わぁ、私って極悪。
さて、っと。
たまには遠野家の朝の風景でもお知らせしましょうか。あんまり気が進まないですが。
とととっと、階段を下りると……………。いきなり目が合ってしまいました(泣)。
この家の支配人、いや、支配者ですの。
そうです〜。
黒い髪に、ちょっと怒りで燻った背中がらぶり〜な遠野秋葉様ですの〜。
ご主人様の妹なのに遠野家の当主。威厳、迫力、威圧感、全てにおいてご主人様を凌駕していますの〜。ちろっと首を曲げてご挨拶。ご機嫌取っておかないと追い出されてしまうかも、ですの〜〜。
「あら、またいたの?」
翡翠、と声をかける秋葉様。
「はい、秋葉様、ご用でしょうか?」
「この猫がまた飲み物が欲しいと言っているようなの」
え゛っ!?
そんなことは一欠片も思ってませんのっ!
この間も『遠野家で昔飼っていた猫はワインを飲んだわよね?』って言うから無理して飲んだだけですのっ!
その後正体不明になって翡翠さんに抱かれていましたが、決して『いたくお気に召した様子』ぢゃなくて、酔ってただけですのっ!
だいたい、このお話のオリジナル、『吾輩は猫である』の猫が最期どういう結末を迎えたか知りやがらないんですか、この無知な方々は?
ビールで酔っぱらって溺死、ですのよ?
遠野家は教養のあるって言いながら……あ゛〜〜〜っ!!
ぽんっ!とくとくとく。
「さ、召し上がれ。今日は日本酒ですわ」
ぐぐぐぐぐ……。猫らしく、猫らしく……。
私は猫っぽく見えるようにくんくん、と臭いを嗅いでから、ぷいっと横を向きました。
「あらあら、やっぱりワインの方が良いみたいよ?翡翠?」
「そうですね、では」
きりきりっ!ぽっぽっぽっぽっぽっぽ。
「さ、召し上がれ。今度はウィスキーですわ」
え?
ば、馬鹿ですか?あなたは?ま、まぁ、いいです。
同じように、拒否すればいいだけのことですから。
「あらまぁ、やっぱりワインじゃないと駄目かしら?翡翠?」
あっ!
種が判りました。
ワインじゃないと駄目かしら?なんてけつかりながら、秋葉様は翡翠さんに今度はブランデーを渡してます。
「そうですね、では」
駄目ですってっ!!
私は三度、首を振りました。懲りないですよねぇ、本当に……。
「あらあら、それじゃあ、本当にワインじゃないと駄目ですね。翡翠」
「はい、秋葉様」
ワイン………………は、舐めないと不自然ですよねぇ………………。この前飲んでしまっただけに………。
あぁ、私、未成年なんですが……。あ、でも、実は秋葉様には勝ってるかもしれませんのよ?
む・ね(笑)。
ぞわっ!
何か、今、強烈な恐怖を感じました。
わっ!?何だか、秋葉様がじろっとこっちを睨んでますのっ!び、敏感ですね〜。
きりきりきり……。ぽんっ!ぽんっ!ぽんっ!
え、また3つ、ですか?
はぁ。この人達、私が何を選ぶかに何か賭けてるみたいなんですよね。本当に教養とか、あるんでしょうか?
「琥珀、あなたは今日はどれだと思う?」
秋葉様は次々に翡翠さんにワインを渡しながら聞きました。
「わたしは今日はロゼに賭けてみます」
「そう?それじゃあ私は白で」
そうなると翡翠さんは赤ですか。
お酒の味の違いなんて判らないですから、一番気に入った人が賭けているものにしますよ。
まぁ、赤ワインは身体によろしいそうですから。
「さ、召し上がれ」
翡翠さんが赤を置いたのを見計らって、赤の皿から順に臭いを嗅いで、最後にまた赤の所に戻っておもむろに舐めます。
わ。う。い、いつもながら、アルコール臭いですよね〜。
当たり前ですが。
「あ〜、また翡翠の勝ち?」
「わたしは今回は選んでませんので、わたしの勝ちと言うよりは秋葉さま達の負け、でございます」
翡翠さんは表情を変えずにびしっと言い切りました。
かっこいい〜。
「あ〜あ、わたしが勝ったら翡翠ちゃんに志貴さんを起こす役を一日代わってもらおうかと思ったんだけどもな〜」
琥珀さんは残念そうにそんなことを言いました。
「姉さん。それは何がありましてもお断りいたします。例え仮定の話でも志貴様を賭け事の賞品には出来ません」
「そんなこと言っちゃって。実は毎朝『志貴ちゃ〜ん』とか言って甘えまくってるんじゃないの?」
その通りですの。
「そのようなことはございません」
待てや、こら。
……失礼しました。
待って下さい、翡翠さん。
そのようなことありまくりじゃないですかっ!
「あ、みんなここにいたのか?」
ご主人様がやってきました。
やっぱりちょっと眠そうですね〜。
ご主人様、お付き合いしている女性もいなければ、ろくなご趣味も、お金すら無いんですから、休日はずっと寝ていらしてもよろしいのに。
「琥珀、翡翠の仕事ぶりについては、また別の機会にお話しすることにしましょう」
秋葉様は優雅にそう言って話を切り上げました。
「それで、兄さん。この猫がお酒を飲みたくて仕方なさそうだったので、どれが口に合うのか試している間にこんなにお酒を開けてしまったんです」
んなわけあるかっ!
…………失礼しました。
「一度開けてしまうと、お酒は味が落ちますからね〜」
「そうなの?琥珀さんが言うなら間違いないね」
ご主人様、例えそれが本当でも、私のせいでお酒が開いたんじゃありませんのっ!
「そうなんですよ、兄さん。この際ですから、今日は宴会にしませんか?」
って、あんた、実は最初からそれが目的やろっ!!
………………失礼しました。
前の飼い主の所に、たまに関西弁のねーちゃんがやってきてえらい喧嘩するのでついつい覚えてしまいました。
「いいよ。あ、でも、ちょっと出かけてくるから、後にしてくれないか?」
「えぇ、勿論です」
あ、ご主人様もどこかに出かける当てがあるんですね〜。
はぁ、私はその間何してましょうかね。
「と、いうわけで、秋葉、金」
「へ?」
え?
ご主人様が秋葉様にお金を要求している所なんて初めて見ました。
「な、な、え、え?」
「金だって。くれ。買い物行くんだから」
「志貴さま。何をお買い求めになるんでしょうか?」
茫然自失の秋葉様に代わって、翡翠さんが尋ねます。
「レンの服買うんだよ。前に翡翠が『汚れてる』って言ってたからね。遠野家の飼い猫として、ふさわしい服買ってやるんだよ」
「わ、判りました。ですが、そのようなことは翡翠にでもご命じになっては………」
そんな秋葉様の言葉に、ご主人様は、ひょい、と私を肩に乗せて言いました。
「翡翠と一緒に出かけても良いけど、レンは俺の飼い猫なんだから、俺が選ぶ。判ったら金」
………………その気持ちだけで嬉しいです、ご主人様ぁ………………。
私は使い魔ですの。
今はとっても幸せですの。
<来週に続くのである>
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