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| 我が輩は猫ですの from Ophanim |
| 使イ魔奮戦編 |
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私は使い魔ですの。
用事は猫の真似ですの。
にゃ〜。
………………はぁ。
もっと、使い魔らしい仕事したいですの〜。
え?
どんなのって、言われても……、その〜、私も良く知らないのですが。
そうですね〜、お食事の準備とか、お掃除とか、身の回りのお世話とか………………。
え、それは、メイドさんの仕事ですか?
それではですね、一緒にお食事に出かけたり、お買い物をご一緒したり、お散歩に出かけたり……。
あ、それは、今でも出来ますね。
っていうか、ペットの仕事ですね。
そ、それじゃあ、そ、その。
一緒に眠ったり、え、えっと、色々もにゃもにゃして、二人の子供を作ったりとか……。
あ、それ良いですね〜。
それにします。
え、それは違うですっって?
いいえ、却下ですの。
ねぇ、ご主人様ぁ。
私はごろにゃ、と丸まりました。
えへ。
実は一緒に眠るのは今でもやってますの。
ご主人様のお布団の上、お腹の辺りに丸まって寝ると暖かくて気持ちいいんですの。
私も暖かいし、ご主人様も暖かいし、良いことばかりですわ。
冬になるまでにもっと親密度アップして、冬になったらお布団の中で………………。
こんこんっ!
「志貴さま、朝です。お起きになって下さいまし」
あ。
来やがりましたわ。
翡翠さんです。
あ〜。
今、全国1億3000万の翡翠さんファンを敵に回した、とか思ってますね?
そうですよね。
みなさん、『月姫』をプレーされただけですよね?
でも、あのゲームは基本的にご主人様の視線を主体にものが流れてますから、みなさんがこの人の本性を知らないのも無理はありませんですの。
まぁ、すぐ判りますわ。
こんっこんっ!
「志貴さま、失礼します!」
翡翠さんは静かに一礼しながら入ってきました。
そして……。
「志貴さま、まだ起きません、よね?」
にこっと笑う翡翠さん。
え?
そうですよ。
笑うんです。
「あっ!またっ!この黒猫っ!!志貴ちゃんから離れろ〜っ!!」
ぶわっ!
あ、危ないですの。
いきなり箒を振り回してきましたの。
いつもならとっとと逃げてる所なんですが、今朝はみなさんに実態をお伝えしなければなりませんの。
怖いですけど、今日は窓際までで止まって、これから毎朝何が起きているかお教えしますね。
「あ〜、今日はしつこいわね〜?でぇも、あたしと志貴ちゃんのこと邪魔しなければ、べっつにいいよ〜。そこで見てなさいっ!うふっ!」
はい、翡翠さんですよ〜。
もう判ったと思いますが、この方、猫かぶりですの。
毎朝、ご主人様が目を覚まされるまではいつもこんな感じですの。
「あ〜、やっぱりあの日、あたしが志貴ちゃんを迎えに行けば良かったよ〜。秋葉さまが怒るから、あんまり馴れ馴れしくできないもんね〜」
乗りっ。
あ、ちょ、ちょっと!
そこは私の指定席ですっ!
ご主人様だって、私ならともかく、翡翠さんじゃ重くて……ほら、苦しがってるじゃないですかっ!
早く避けてくださいっ!!
「ねぇ、志貴ちゃん。あたしのこと、好き?」
ひ、翡翠さんっ!
近づき過ぎですのっ!
「それにしても、志貴ちゃんって、すっごく寝相良いわよね〜?」
翡翠さんは、ご主人様の顔にくっつきそうなくらい顔を近づけてますの。
一度だけ、翡翠さんは顔近づけてるときにご主人様に見つかってますの。
『歌月十夜』をやられた方ならご存知ですね?
はい。
あの時ですの。
「屋敷・午後〜離れの屋敷。白昼の翡翠〜過ぎ去りし少年のあの頃〜」ですの。
今もっていうか、毎日こんなに近くに……って、あ゛〜〜〜っ!
何ですのっ!?
その、意味ありげに目を閉じるって……。
あ゜〜〜〜〜っ!
私は大急ぎで窓枠を飛び降りて、知らん顔しながらご主人様の唇の上に尻尾を乗せました。
その直後に、「ねとっ」と、くっつく翡翠さんの唇。
危ないところだったですわ。
「うえ〜っ、ぺっぺっぺっ!何てことすんのよ〜、この馬鹿猫ぉっ!」
し、失礼なぁ。そ、そりゃあ、その、………………お洗濯してないですけども。
だって、私、服一着しか持ってませんもの。仕方ないんですの。お風呂だって入れませんし……。
………………。
あぅ(涙)。
自分で言ってて何だか悲しくなってきましたの。
遠野家は確かにお金持ちですが、ご主人様自身は、その……貧乏……ですから、お買い物に一緒に行ってくれるはずもなく。
はぁ。
「なんだ?構って欲しかったの?猫ちゃん?」
私が悲しそうにしているのを見て、翡翠さんは尻尾を舐めさせられたことを怒ることもなく、にっこり笑いました。
「判ったわ。後で遊んであげるね。でも、今は邪魔しないでね?」
う。
その満面の微笑み。
翡翠さんファンの人が見たら『即萌え』決定ですの。私もつい引き込まれそうになってしまいます。そりゃあ『翡翠萌え萌えタオル』も売れるっちゅうねん。
し、仕方ないですね。ちょっとだけですよ?
あ、でも、後でお風呂に入れてもらえると嬉しいですの。
「志貴ちゃん、まだ起きないわね〜?」
はい。
ご主人様が起きるときは、顔に次第に血の気が戻ってきますから判りますの。
寝ている間は死んでいるのかもしれませんね〜。
は?
え?
普通の人は違うって仰るんですか。
でも、魔術師には寿命を節約するためにそうする人は多いですが。
はぁ。ご主人様は魔術師じゃない、ですか。そんなものなんですかね。私には判りません、すみません。
「あ〜〜っもう、どうせ起きないなら一緒に布団入っちゃおうかな〜っ?」
え゛っ!
私の見ている前で翡翠さんはがばっとご主人様の布団に手をかけました。
駄目〜〜〜〜っ!
そんなの絶対駄目ですのっ!!
それは私の特権ですのっ!
私は思わずご主人様と翡翠さんの間に割り込みました。
「わっ!何すんのよっ!」
あぁ、またお風呂は遠くなるのかも……。でも、仕方ないですの〜。背に腹は代えられないですの〜(泣)。
「あっ!判った!志貴ちゃんが起きそうなのねっ!?」
私が飛び込んだ時、丁度良くご主人様に目覚めの兆候が!
翡翠さんは大急ぎでご主人様の布団を元に戻して、部屋を飛び出していきました。見つかったら大変ですもんね。
私は………………布団の中ですの。いつもよりご主人様が近くにいて、ちょっとどきどきですの。
こんこん。
「志貴さま、お目覚めの時間です」
また、丁寧に頭を下げて部屋に入ってくる翡翠さん。
その声でご主人様がもぞ、っと動きます。どうやら本当に起きられるようですね。
「おはようございます、志貴さま」
「ん、あぁ、おはよう、翡翠」
ひぁっ!
痛い〜。
身体を起こしたご主人様の手が、私の尻尾の上に乗りましたの。えっと、ほんとの猫は筋肉とか入ってますけども、私の尻尾だってこれは髪の毛の一部を変化させたものですから、引っ張られると痛いんですの。
「あぁ、今日は布団の中にいたのか、こいつ」
「はぁ。それはいけませんね」
布団が汚れます、と、乙女の気持ちを踏みにじるようなことを仰る翡翠さん。えぅ〜。
「そうだね、翡翠。もし、時間があったら、こいつのこともお風呂に入れてやったりしてもらえるかな?」
「はい、志貴さまのご命令とあらば」
わ。嬉しいです〜。
私は使い魔ですの。
用事が無くても幸せですの。
<更に続くのである>
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